本研究は、江戸中期から本格的に作られていった日本漢文体笑話本全体について、版本調査を行い、作者、作品年代、所蔵状況、版本状況などを一覧表にして提示したのち、代表的漢文笑話集について考察したものである。 そのうち、漢文笑話本の嚆矢である岡白駒『訳準開口新語』、越中高岡の漢学者寺崎れい洲による笑話本『へん譚』、大阪の学僧霊松道人の『善謔随訳』、河邑玄佑作『前戯録』、江戸の儒者山本北山『笑堂福聚』について、笑話に書き下しと訳文を施し、解釈を加え、執筆の背景を考察した。その結果、各漢文笑話集のもつ特徴およびその文学史的意味を明らかにした。
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