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2011 年度 実績報告書

アフリカの草の根の女が著すエイズの物語

研究課題

研究課題/領域番号 22520366
研究機関広島大学

研究代表者

大池 真知子  広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (90313395)

キーワード外国文学 / アフリカ
研究概要

本年度は、ウガンダのトロロ県でメモリーブックの調査を行った。詳しい調査内容と得られた知見は以下のとおり。
1.さらに多くのメモリーブックを分析した。書き手は、HIV/エイズの活動を行って自信を深めると同時に、死にたいする強い不安も感じるという、葛藤する状況をメモリーブックに記していることがわかった。メモリーブックが、よくあるエンパワーメントの語り以上のものを記しているという証左である。
2.書き手にインタビューを行った。書き手のなかには、英語が十分に書けないため現地語で口述し、支援者に英訳してもらっている人もいた。現地語なら自力で書けるにもかかわらず、あえて支援者の手を借りて英語で書くことを選択している人もいた。英語は外の世界とつながる道具である。子どもに向けて内密な内容を書くはずのメモリーブックが、開かれた意識のなかで書かれていることが分かる。
3.支援者にインタビューを行った。メモリーブックのトレーナーの資格を持つ人は、英訳以上の支援を行っていた。質問をして書く内容を引き出したり、書く内容をアドバイスしたりしていた。悪口を書くと子どもの心にずっと残ると説明し、記述を止めさせることもあった。メモリーブックを分析するときに、支援者の存在も考慮すべきだと思われる。
4.書き手グループのリーダーにインタビューを行った。書き手は「検査後クラブ」というエイズの活動グループをつうじて執筆している。クラブの成り立ちは、クラブによって異なる。現在、第一世代が亡くなりつつあり、世代交代が行われている。クラブの歴史を書き残す必要があると思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

さらに多くのメモリーブックを入手し、書き手にインタビューを行うことで、多くの知見が得られている。しかし、執筆のワークショップに参加することはできていない。

今後の研究の推進方策

さらにメモリーブックを読み込み、書き手にインタビューを行って、メモリーブックを検査後クラブで執筆する意味について明らかにしたい。また、前研究課題「社会運動としての文学--アフリカのHIV/エイズと小説」(課題番号18520269)の内容と、本研究の一部をあわせて、著書を発表する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] アフリカのHIV/エイズ小説が表象する性と身体の政治学--アマ・ダーコの『花なしでなく』分析2011

    • 著者名/発表者名
      大池真知子
    • 雑誌名

      多民族研究

      巻: 4号 ページ: 89-119

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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