研究課題/領域番号 |
22520367
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
高橋 明郎 香川大学, 経済学部, 教授 (60197126)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 幼獅 / 救国団 / 台湾文学 / 文芸政策 / 国民党 |
研究概要 |
前年度に引き続き、基礎資料の複写・蒐集を台北の国家中央図書館で行った。『幼獅少年』については今年度で民國83年までの資料複写を終えた。ただし、国家図書館では幾つかの期間に欠号が存在するため、その部分については、収蔵場所を調査中で、未了のまま残っている。また複写済み資料については、点検を行い、分野別の整理を進めている。 既に前年までに整理した期間の資料をもとに、『幼獅少年』創刊時の編集方針を検討した。基本的に、最初期数号の構成は、創刊前に編集者が想定したものが修正無く示されることが多いことから、本来の企図を考える上で、この時期の考証を最初に行う必要があるからである。そして、その結果を「『幼獅少年』創刊期の記事と作家たち」としてまとめ、『香川大学経済論叢』85巻4号に発表した。この論文では、当該誌発刊側の問題意識は、中学生相応の雑誌の欠落であり、「相応」が指すものとは、言語レベルに止まらず、共産党政権前の大陸の記憶の伝達、現政権の意義を共産党政権との対比で認識させる、中国の伝統的文化の保護・堅持といった内容に及んでいること、そうした雑誌の役割を読者である教員も生徒も肯定的に捉えていたことを、初期の記事構成や内容から説明した。 前年同様、青少年文学作品や、国民党の政策に関する文献を並行して購入した。 今後の展開について、天理台湾学会で他の学会員と意見交換を行った。加えて台湾の真理大学台湾文学資料館や国立成功大学で、台湾文学系の研究者と面談した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
『幼獅少年』の創刊期については、蒐集した資料をもとに分析を進めることが出来た。当初の予定では、創刊後数号に対する読者の反響をもとに、どの程度初期段階の修正が行われたかまで分析を進めたかった。国民党の文教政策の動きについても、創刊期までは逐えたものの、雑誌刊行と並行する期間の調査までは現地での調査時間が取れなかった。前年度に予定より遅れた複写作業の進行を優先させたためである。
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今後の研究の推進方策 |
『幼獅少年』自体の記事収集は、25年度で修了させたいと思っている。欠号部分について、収蔵している可能性のある所を広く当たる必要がある。既にかなり古い年度の者も含まれるので、今年度蒐集できなければ、そこは今回の分析対象から除くこととする。 台湾の大学でこのテーマについて意見交換を行う。また国内学会でも台湾研究者と情報交換を行う。 既に複写蒐集した資料については、昨年着手した写資料リストを整理と、内容に応じた分類を継続して行う。 国内外での関連資料の収集のについては、結論に向けて、国民党の政策に関する資料にウェイトを置きたい。
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