研究課題/領域番号 |
22520370
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
長尾 直茂 上智大学, 文学部, 教授 (30323182)
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研究期間 (年度) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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キーワード | 和刻本 / 朝鮮本 / 韓本 / 漢籍 / 世説新語補 / 剪燈新話句解 |
研究概要 |
本年度の研究対象は、前年度に引き続いて、明代に成立した志人小説『世説新語補』と怪奇小説集『剪燈新話』の二書に絞ったが、作業の進捗状況の都合上、主に研究・調査を行ったのは前者の『世説新語補』についてである。周知の通り、『世説新語補』は『世説新語』に、明・何良俊『語林』から後代の挿話を補充した小説で、万暦時代に刊行された後、これをもとに朝鮮において刊本が作製された。この朝鮮本のテクストの一つである、天理図書館今西文庫所蔵本と元禄七年刊の和刻本とを対照し、その異同を表の形式でまとめることに努めた。ただし、『世説新語』と『世説新語補』との間に、収録挿話に異同があり、これを整理してから作業を始めねばならぬという、準備段階での煩雑さに加えて、主たる作業である『世説新語補』の朝鮮本と和刻本とを比較対照するということ自体の煩雑さもあって、調査作業は予想以上に難航した。そのため、異同表の作成はいまだ途次にあるが、これは完成年度である平成25年度に完了させて、研究成果報告書に添付する予定である。上記の作業に始終従事したため、『剪燈新話』の代表的な朝鮮本テクストである『剪燈新話句解』に関しては、十分な調査に及んでおらず、国立公文書館内閣文庫所蔵の朝鮮本と慶安元年刊の和刻本とを対照させる作業のみに止まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施の概要にも記した通り、『世説新語補』の朝鮮本と和刻本とを比較対照する作業に予想以上の時間を費やしたため、『剪燈新話句解』についての調査作業が遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は研究の完成年度に当たるので、『世説新語補』をめぐる研究を完遂して研究成果報告書にまとめ、補足的に『剪燈新話句解』の研究成果をこれに加えて、本テーマによる研究に一応の区切りをつけたい。
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