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2011 年度 実績報告書

周曰校刊『三国志通俗演義』についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 22520371
研究機関大東文化大学

研究代表者

中川 諭  大東文化大学, 文学部, 教授 (20261555)

キーワード『三国志演義』 / 周曰校 / 版本研究 / 明代 / 出版文化
研究概要

本年度は、昨年度蒐集した資料に加えて、さらに三種類の資料を閲覧調査し、さらに複写・写真を入手した。それらの資料を踏まえて、周曰校刊『三国志通俗演義』について詳細な考察を進めた。
まず、昨年度入手できなかった中国国家図書館と京都産業大学図書館小川文庫に蔵される周曰校本の複写を入手した。これらを調査した結果、いずれもいわゆる「丙本」と称される版本であることが判明した。昨年度入手した一種類の丙本(名古屋市蓬左文庫本・宮城県図書館伊達文庫本・内閣文庫本)と一種類の影印本(台湾故宮博物院本)あわせて六種類の丙本を比較検討し、それらの印刷の先後関係とそこから明らかになる出版文化に関するさまざまな問題点を明らかにすることができた。すなわち、丙本は、1蓬左文庫本、2伊達文庫本、3小川文庫本、4内閣文庫本、5国家図書館本、6台湾故宮本、の順序で印刷されていることが分かった。そして比較的印刷状態のいい本がいずれも中国国外に蔵されていることから、明代末期中国で出版された本は出版後すぐに国外へ輸出されていたこと、またいわゆる「甲本」(中国社会科学院文学研究所蔵)は万暦十~十五年頃の刊行であることを明らかにした。
また北京大学図書館に蔵される「乙本」を調査することによって、「丙本」と版式が全く同じであり、「丙本」は「乙本」の翻刻本であることが分かった。そして「乙本」と「丙本」の間には文字の異同も見られることも判明した。北京大学図書館蔵本の乙本は残本であり、乙本の全体像を確認することができない。そこでアメリカのイェール大学図書館に蔵される乙本を緊急に調査する必要が生じ、イェール大学を訪れて同大学図書館に蔵される乙本の写真撮影を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在存在が知られている「丙本」の複写・写真はすべて入手することができた。また北京大学やイェール大学に蔵される「乙本」の写真も入手することができた。これらの資料に基づいて、周曰校が刊行した『三国志演義』とそれをめぐる問題について、順調に研究を進めることができている。

今後の研究の推進方策

今後は、これまで蒐集した周曰校刊『三国志演義』を詳細に比較検討する。さらに韓国で発見された周曰校甲本の翻刻本・活字本についても考察を進め、特に活字本と周曰校本との関係を明らかにする。また周曰校が刊行した『三国志演義』以外の小説にも着目し、書肆周曰校を中心とした出版文化について研究を進める。
中国社会科学院に蔵される周曰校甲本は、本研究について第一級の資料である。しかし閲覧が厳しく制限されている上、複写や撮影が一切許されていない。この点が本研究を遂行する上で一つの障碍となっている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 周日校刊『三国志演義』の甲本・乙本・丙本2012

    • 著者名/発表者名
      中川諭
    • 雑誌名

      林田慎之助先生傘寿記念三国志論集

      巻: (掲載確定)(未定)

  • [雑誌論文] 周日校刊『三国志演義』について2011

    • 著者名/発表者名
      中川諭
    • 雑誌名

      東北大学中国語学文学論集

      巻: 第16号 ページ: 57-72

  • [雑誌論文] 関于周日校刊《三国志演義》2011

    • 著者名/発表者名
      中川諭
    • 雑誌名

      中国古代小説、戲曲文献与数字化研討会論文集

      ページ: 257-263

  • [学会発表] 《三国志演義》的夷白堂本与周日校本2011

    • 著者名/発表者名
      中川諭
    • 学会等名
      中国明代文学学会第八届年会曁2011年明代文学与文化国際学術研討会
    • 発表場所
      首都師範大学
    • 年月日
      2011-08-17
  • [学会発表] 関于周日校刊《三国志演義》2011

    • 著者名/発表者名
      中川諭
    • 学会等名
      中国古代小説、戲劇文献与数字化研討会
    • 発表場所
      首都師範大学
    • 年月日
      2011-08-14

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公開日: 2013-06-26  

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