研究課題/領域番号 |
22520376
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高屋 亜希 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (20277784)
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研究分担者 |
千田 大介 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (70298107)
山下 一夫 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (20383383)
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キーワード | 中国現代文学 / 中国都市文化 / サブカルチャー / ライトノベル / 日中比較文化 |
研究概要 |
1990年代以降、現代中国の都市文化がいかに形成、蓄積されてきたかという問題について、インテリサークルが果たしてきた役割、およびインターネットがもたらした役割を解明するとともに、産業化によるそれらの変化の実態を解明することが、本研究の目的である。 本年度は、21世紀に入ってから急速に市場が形成された中国ライトノベルについて、その形成の歴史的経緯のほか、すでに数多く創作・刊行されている作品群の全体の見取り図を作成した。作品群がいくつかのジャンルに分類できること、ジャンル形成に影響を与えた海外作品との関係や差異、影響を与えた海外作品の偏りなども具体的に明らかになった。 また、日本のマンガ・アニメからの影響が指摘される若手作家の郭敬明について、代表作『幻城』がCLAMPの『聖伝』のどの部分を模倣しているのかを具体的に分析した。それによって、郭敬明など1980年代生まれ世代の若者の意識・志向が明らかになるともに、中国ライトノベル作品群との相違点も明確になった。 さらに、これらの作品の創作・出版の背景となる都市市民層の台頭、およびその文化の形成の歴史について、例えば王暁漁「春節交歓の夕べ」の「召喚システム」」など、文学・テレビ・映画などの諸分野における社会変化を分析した中国の批評論文7篇を翻訳した。 その他、これまで文学・映画・演劇・音楽などジャンルごとに、2001~2007年の中国文化状況をまとめた年鑑(『Chinese Culture Review(中国文化総覧)』第1~6巻)を翻訳・刊行してきたが、本年度も引き続き2008年の状況をまとめた第7巻を翻訳・刊行した。これらの翻訳もインターネット上での公開を予定している。研究成果をインターネット上に公開するナレッジベースについては、設計に着手するとともに、データの成型作業を行った。
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