本研究は言語表現におけるステレオタイプの研究である。ステレオタイプは社会心理学的アプローチと言語的アプローチがあるが、本研究では社会集団の特徴についての説明や、ある社会での行動の正当化と関わる言語活動に注目した。説明や正当化は、社会通念を基盤としており、そこから行われる推論には思考レベルのステレオタイプが密接に関わる。本研究ではステレオタイプの関係する事象は文法範疇としての統一性はないが、語彙と語彙の意味関係、文と文の推論関係を理解する上で重要なファクターであることを明確にした。また慣用句、定型表現、故事などの言語的特徴を明確にし、言語教育への応用とあるべき辞書の記述について提案を行った。
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