研究課題/領域番号 |
22520391
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤井 聖子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (70165330)
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キーワード | 構文理論 / 用法基盤アプローチ / 語彙と構文彙 / フレーム意味論 / 言語獲得 / 接続表現 / 支援動詞構文 / 複合辞 |
研究概要 |
本研究は、構文理論および用法基盤モデルに基づき、言語知識における「語彙」知識と「構文」知識とを乖離した知識と見なさず両者の統合現象に着目し、言語使用・言語獲得・学習のコーパスデータを用いた分析を通して、「語彙と構文」両者の統合的知識を理論的かつ実証的に探究する。そのために、「語彙と構文」の統合的知識を分析し解明するための理論的考察を深めつつ、コーパスデータを用いて、日本語における「語彙と構文」両者の統合的知識を分析・記述する代表的事例研究を行うことが主な目的の一つである。また、子供の第一言語獲得、及び、第二言語習得においても、「語彙と構文」統合的知識の習得・学習に関する事例研究を行う。 2011年度は、「語彙と構文」の統合的知識を分析するための理論的考察と合わせ、フレーム意味論と構文理論に基づく項構造構文の分析として、(1)特に英語と日本語におけるに分離動詞の分析に着手し、'break' 'cut'「こわす」「切る」「わる」「おる」等の語彙の形成する構文の分析を進めた。同時に、(2)条件構文における語彙と構文の分析や、(3)大規模均衡コーパスBCCWJを用いて所謂引用助詞「と」が標識する「語彙と構文彙」の分析を進めた。さらに、(4)in that'構文の分析の発展として、英語のadjunctの項構造構文との関係の分析に着手した。(2)の成果を、国際語用論学会(イギリス・マンチェスター、2011年7月)で発表し、(3)の成果の一部を『「現代日本語書き言葉均衡コーパス」完成記念講演会論文集』で発表した。(1)の成果をCSDL(Conceptual Structure, Discourse, and Language Conference)*に投稿し採択され、(4)の成果を構文理論学会ICCG(International Conference on Construction Grammar. Charles University)*に投稿し採択された。(*いずれも2012年度前半に開催される国際学会である。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論的考察に加え、複数の事例分析を展開することができた。さらに、事例分析の成果の一部を国際学会で発表する段階に達し、CSDL,ICCG等の国際学会に投稿し採択されたため、2012年度に成果報告の発表を計画することができた。
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今後の研究の推進方策 |
理論的考察に加え、複数の事例分析を継続する。同時に、行ってきている事例分析の成果の一部を、国際学会で発表する計画である。具体的には、2012年5月にCSDL(Conceptual Structure, Discourse, and Language Conference)で分離動詞構文の類型論的分析に関する論文を発表し、2012年8月にICCG(International Conference on Construction Grammar. Charles University)で、条件構文・複合辞に関する論文、および、英語のadjunctの項構造構文との関係に関する論文を発表する計画である。
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