• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

所有文に関する意味論的・語用論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22520406
研究機関明海大学

研究代表者

西山 佑司  明海大学, 外国語学部, 教授 (90051747)

研究分担者 小屋 逸樹  慶應義塾大学, 法学部, 教授 (80234904)
熊本 千明  佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (10153355)
キーワード所有文 / 存在文 / コピュラ文 / 指示的名詞句 / 措定文 / 変項名詞句 / 名詞句の意味機能
研究概要

所有文は、日本語であれば、(1)(2)のように、「A(に)はBがある」という形式をもち、Aが所有者、Bが所有対象を表す構文である。これは、英語であれば、"A has B."として実現する。
(1)太郎(に)は欠点がある。
(2)このコース(に)は必読書がある。
従来の言語研究では所有文に対する明確な定義が与えられていなかった。また、所有文と存在文の関係が明示的に論じられることはなかった。本研究では、研究代表者が10数年前から押し進めてきたコピュラ文や存在文に関する新しい理論と、その理論を背後で支えている名詞句に関する意味論的研究(とりわけ指示的名詞句と変項名詞句の区別、名詞の飽和性に関する新しい分析)を武器にして所有文という構文を明確に定義することを試みた。とくに、所有文の意味を、AおよびBに登場する名詞句の意味と文中での意味機能の観点から分析し、この構文をコピュラ文や存在文との関係で有機的に記述・説明できる一般理論の構築を目指して研究を進めた。研究代表者の西山は、さらに、Bが有生であるとき、所有文の動詞は(3)のように「ある」「いる」両方が可能である場合と、(4)のように「いる」だけが可能な場合があるが、その違いはどこから来るかを検討した。
(3)花子には男兄弟が{ある/いる}。
(4)花子には兄貴が{*ある/いる}。
研究分担者の熊本は、名詞句のattributive useと変項名詞句との区別に関する論文を発表した。研究分担者の小屋は、変項名詞句が本質的な機能を果たす日本語の「カキ料理構文」について固有名詞との関係で通説を批判的に検討した。これらの研究を通して、所有文を分析する際の基礎概念の整理がさらに進んだといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

所有文、コピュラ文、存在文という三つの構文を有機的に記述・説明できる一般理論の構築を目指すという目的はある程度達成された。

今後の研究の推進方策

この2年間の研究はもっぱら日本語と英語に焦点をあてて、所有文の意味構造を存在文やコピュラ文の意味構造との関連で検討してきたが、今年度はデータをさらに広げて、ドイツ語、フランス語、韓国語、中国語の所有文の意味構造を日本語や英語の所有文構造と比較検討する。そうすることによって所有文に関する一般理論構築の完成を目指したい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 非飽和名詞と譲渡不可能名詞について2012

    • 著者名/発表者名
      西山佑司
    • 雑誌名

      明海大学大学院応用言語研究

      巻: 14 ページ: 113-129

    • 査読あり
  • [学会発表] コピュラ文におけるit/thatの指示性について2012

    • 著者名/発表者名
      熊本千明
    • 学会等名
      第33回慶應意味論・語用論研究会
    • 発表場所
      慶應義塾大学(三田)
    • 年月日
      2012-02-12
  • [学会発表] 「注文の多い料理店」の曖昧性について2011

    • 著者名/発表者名
      西山佑司
    • 学会等名
      第30回慶應意味論・語用論研究会
    • 発表場所
      慶應義塾大学(三田)
    • 年月日
      2011-11-06
  • [学会発表] 高校英語教科書に見られる絶対存在文2011

    • 著者名/発表者名
      西山佑司
    • 学会等名
      第27回慶應意味論・語用論研究会
    • 発表場所
      慶應義塾大学(三田)
    • 年月日
      2011-07-31
  • [図書] ことばワークショップ:言語を再発見する2011

    • 著者名/発表者名
      西山佑司(共著)
    • 総ページ数
      135-180
    • 出版者
      開拓社

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi