研究課題/領域番号 |
22520408
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
渡辺 学 学習院大学, 文学部, 教授 (00175126)
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研究分担者 |
三宅 和子 東洋大学, 文学部, 教授 (60259083)
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キーワード | 異文化コミュニケーション / 位置取り / 談話 / インタラクション / エスノメソドロジー / 解釈学的社会学 / 配慮言語行動 |
研究概要 |
期間の全体にわたって研究代表者は、昨年度に引き続き談話研究を視野に入れ、異文化コミュニケーションの研究成果をもとにしたうえでの日独英語のポライトネス対照研究を推進した。ポライトネス研究をいったん広義に解し、いわゆる異文化理解の諸問題も射程に収めた。 対照研究は、ポライトネス概念の言語圏、あるいは研究者間の差異を明らかにすることを目指して、「位置取り(positioning, Positionierung)」などの鍵概念とその射程・応用可能性に注目しつつ、最先端の研究成果と対峙しながら推進した。これには、術語・概念の細部の精査とともに、これらを「談話」「コミュニケーション」「インタラクション」などの文脈に位置づける、いわゆるマクロな視座からの読みも必要とされた。10月から12月期、2月から3月期にかけてはドイツ語研究所(マンハイム)のシュミット教授のグループのデータ会議に計8回にわたって参加し、討論にも加わりながら、さまざまな組織(学校、職場など)で収録されたデータの分析・解釈を行い、「エスノメソドロジー」や「解釈学的社会学」の手法に親しみ、いわゆる「多重モード(multimodality)」や「インタラクション」の仕組みを理解し、あわせてドイツ語による学術討論の特性を追体験して自身の研究にいかすことができた。 社会学、社会心理学などの方法も援用しつつ、ドイツ語研究所が提供している既存のコーパスを利用、ドイツ語研究所専門研究員との意見・情報交換を重ねたことは、研究上の視野の拡大と調査分析の精密化に役立った。加えて、たとえば11月の招待講演(ドイツ、ミュンスター大学、ギュントナー教授)では、日本と日本人のイメージをトピックとし、ポライトネスの問題にも論究した研究代表者の講演に対して、客観的で批判的なフィードバックを受けることができた。研究分担者三宅和子はとりわけ「配慮言語行動」「コミュニケーションのスタイル」に、連携研究者南保輔は「社会学的社会心理学」「エスノメソドロジー」にそれぞれ焦点を当てて研究を推進した。10月と3月の科研研究会においてドイツ語学、日本語学、英語学の視座からポライトネス研究についての専門的知識の提供を得たことは、言語文化横断的な専門討議の機会となり、異文化コミュニケーションにもつらなるポライトネス研究の全体像構築に大いに役立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度、研究代表者が6月期以降しばらく健康を損ねていたことと、連携研究者が当初計画していた海外出張が、地震の影響に伴う学事日程の変更で実現できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は実現見通しの高い計画の細目を早い段階で固め、時間的・予算的に無理のない範囲におさめながら、分担研究者、連携研究者との連携をより緊密・強固にしながら研究を進めていく。
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