ウィリアムズ症候群疾患者の言語能力を研究対象とした本研究では、音韻処理・生成能力の可塑性の高さと他の認知能力からの自律性を確認した。日本語の単語反転能力を持つ当疾患者から収集した文字不介入のラドリング(言葉遊戯)のデータから、促音と長母音の構造はレキシコンでは同一の構造をしていることを示し、「浮遊モーラ」を音韻論の新概念として提唱することにより、双方の構造を長音の構造として統一・融合させた。本研究は、非定型性言語に関して、その言語学的意味を啓蒙し、新たな言語学研究分野として開拓することに貢献した。
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