研究課題
初年度である今年度は、海岸ツィムシアン語とスライアモン・セイリッシュ語の名詞と動詞の区別の再検討からスタートした。海岸ツィムシアン語とスライアモン・セイリッシュ語を含む北アメリカ北西海岸の諸言語については、しばしば名詞と動詞の区別があいまいであることが指摘されてきた。両言語において、名詞と動詞、とりわけ名詞と自動詞の間にどのような形態的・統語的共通点および差異があるのか、あらためて検討するとともに、両言語の比較をおこなった。また、名詞と自動詞の区別に加え、自動詞と他動詞の問題についても検討をおこなった。自動詞と他動詞にはどのような差異がみられるのか、項を増やす/減らす操作がどのようになされるか等について考察をおこなった。研究代表者は夏期にカナダのブリティッシュ・コロンビア州、プリンス・ルパートにおいて海岸ツィムシアン語の現地調査をおこない、とりわけ所有接辞との共起からみた名詞と動詞のふるまいについて資料を収集した。研究分担者は冬期にアメリカ合衆国のピッツバーグで開催されたSSILA(アメリカ先住民諸語研究学会)の大会に出席し、等位構造において用いられる小詞と品詞の関連について発表するとともに、他言語の研究者と情報交換・研究討議をおこなった。自動詞の下位分類として扱うことができる形容詞についても再検討を開始している。さまざまな言語の形容詞については近いうちに東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所において研究会が予定されている。
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海岸ツィムシアン語の所有表現
巻: 62 ページ: 29-46
N.Amiridze, B.H.Davis & M.Maclagan (eds.), Fillers, Pauses and Placeholders (John Benjamins)
ページ: 173-188
D.Beck (ed.), A Festschrift for Thomas M.Hess : on the Occasion of his Seventieth Birthday (Whatcom Museum Publications No.21)
ページ: 179-196