本研究の主な目的は、平成18年度から21年度にかけて申請者等が科研費を得て世界諸言語について作製した、GIS(地理情報システム)によるデジタル世界言語地図に対して、さらに種々の修正を施し、効率的な検索、分析が可能になるようなシステムを開発することであった。 23年度までにおいて、地理情報システム(GIS)と連動させてデジタル化した世界言語地図を作製し、これに山本の語順データを組み込んだシステムを開発して、それをWeb上で操作可能な状態にし、さらに、運用するWeb版世界言語地図に対して、検索・解析を行った結果の地図表現を汎用的に利用できるよう、PDF形式で出力可能な機能を追加開発した。 24年度は、種々の語順特徴および整合的言語の分布、整合性の度合いによる分布などを、我々が作製したデジタル世界言語地図上に表現し、さらに、SpatialAnalystと呼ばれるプログラムを用いて、データが欠けている空白地域についての特徴を推測させた地図表現を行った。そして、特に研究代表者が著書『世界諸言語の地理的・系統的語順分布とその変遷』で述べたような語順分布が、デジタル世界言語地図上に、どの程度反映されてくるかを検証した。その結果、おおむね著書で述べたような分布が、これらの地図上に実際に表現されてきたことが確認できた。 最終的には、これらの地図で表現した結果、およびそれらの分析結果をまとめた報告書を作成し、印刷することができた。
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