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2012 年度 実績報告書

統語的プライミングを用いた抽象的統語知識の獲得メカニズムの探求

研究課題

研究課題/領域番号 22520419
研究機関津田塾大学

研究代表者

郷路 拓也  津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (60509834)

研究分担者 藤井 友比呂  横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (40513651)
研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2013-03-31
キーワード言語学 / 心理言語学 / 第一言語獲得 / 文理解 / 文産出 / 統語的プライミング
研究概要

本年度は、成人を対象とした文理解実験と文産出実験、そして幼児を対象とした文産出実験を行った。成人対象の文理解実験は、コンピューターの画面上に表示される日本語文が自然な文であるかそうでないかを答える、という課題を行う際に、各試行の直前に提示されていた文の性質が反応時間にどのような影響を与えるかを調べたものである。この実験の結果においては、ベースラインとなるべき最も基本的な条件間の比較(例:直前に通常語順の能動文か受身文を提示された場合の、受身文に対する判断)においてすらプライミング効果が確認できなかった。この結果を受け、同様の構文を用いた文産出実験を成人に対して実施した。すると文産出に関しては極めて頑健なプライミング効果が確認できた。すなわち、被験者は直前に受身文を処理していると、自分でも受身文を用いる確率が高くなったのである。さらに、成人と幼児の両方に、タイプの異なる受身文をプライムとして用いた文産出実験を実施した。利用したのはgapless passiveと呼ばれる、自動詞を元に形成される受身文である(例:XがYに泣かれた)。統語論の研究においては、この種の受身文は、他動詞受身文と異なる構造を持つと主張されている。従って、統語的プライミングがプライム文とターゲット文の間の統語構造の共通性を必要条件とするのであれば、gapless passiveのプライム文は他動詞受身のターゲット文の産出を促進しないと予測される。しかし実験の結果、成人・幼児共に、gapless passiveが他動詞受身の産出にプライミング効果をもたらすことが明らかになった。これはすなわち、「統語的プライミング」が統語構造の共通性がない構文間でも起こりうるものであることを示唆し、従って統語的プライミングを利用した実験の結果は、直接的には抽象的統語知識についての証拠とならない可能性を示している。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] On some asymmetries between head-external relatives and clefts in Japanese2013

    • 著者名/発表者名
      Fujii, Tomohiro
    • 雑誌名

      Fuji English Review

      巻: 1 ページ: 37-52

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Notes on the ‘argument transfer’ problem for configurational theta-theory2013

    • 著者名/発表者名
      Fujii, Tomohiro
    • 雑誌名

      Nanzan Linguistics

      巻: 9 ページ: 1-19

  • [学会発表] 理由副詞類の生成位置とコントロール節の修飾について2012

    • 著者名/発表者名
      藤井友比呂
    • 学会等名
      日本言語学会第145回大会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2012-11-24
  • [学会発表] On some asymmetries between head-external relatives and clefts in Japanese2012

    • 著者名/発表者名
      Fujii, Tomohiro
    • 学会等名
      One-day workshop on syntax and semantics
    • 発表場所
      藤女子大学
    • 年月日
      2012-09-08
  • [学会発表] A head movement analysis of complement/adjunct asymmetries in Japanese te-clauses

    • 著者名/発表者名
      Hayashi, Shintaro
    • 学会等名
      The 14th Tokyo Conference on Psycholinguistics
    • 発表場所
      慶応義塾大学
  • [学会発表] How syntactic is syntactic priming? An experimental study on Japanese passives

    • 著者名/発表者名
      Ishikawa, Megumi
    • 学会等名
      The 14th Tokyo Conference on Psycholinguistics
    • 発表場所
      慶応義塾大学
  • [学会発表] (N)OC into verbal noun phrases

    • 著者名/発表者名
      Fujii, Tomohiro
    • 学会等名
      比較統語論国際共同研究プロジェクト:第17回ワークショップ
    • 発表場所
      南山大学
  • [図書] 生成言語研究の現在(第2章「ミニマリストプログラムと言語獲得研究」執筆)2013

    • 著者名/発表者名
      郷路拓也
    • 総ページ数
      263 (41-65)
    • 出版者
      ひつじ書房

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公開日: 2014-07-24  

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