研究概要 |
23年度は,先行研究及びすでに申請者がこれまでの記述してきた文法データを文法項目ごとの記述の枠組みへ整理する作業を継続して行った。この枠組みは,申請者が,言語類型論研究で着目されている項目を網羅して作成したもので,Haspelmath, et. al.(2005) The World Atlas of Language Structuresの項目について,類型論研究者に情報を提供することが可能であるように編集してあるものである。昨年度に引き続き、チャウコンメン語(CaoKongMeng)のデータを整理したほか、海外協力者の〓方貴氏と共同研究を行った。〓氏がミエン語のひとつであるビャウミン語(BiauMin)のネイティブの研究者である。〓氏に提供していただいたデータを整理する作業も行った。また、個別の文法項目について、〓氏と研究セッションをもつことができた。今年度は、場所表現、動作結果表現について考察を行った。ビャウミン語の場所表現においては、動詞+対象の位置表現の後に、所在動詞が現れて結果の状態を明示する形式がある。これはタイ語にもみられるが、ミャオ・ヤオ語の中では特異な構文であることがわかった。これが、接触の結果なのかどうかは今後さらに研究する必要がある。動作結果表現では、ミエン語では動作と結果を表す2つの動詞が結びつく傾向があるが、これはビャウミン語でも見られた。この表現では、ビャウミン語は漢語的な特徴を顕著であることがわかった。
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