研究概要 |
今年度はコピュラ属詞文,非人称構文と属詞,そして,特に非動詞文の分析に集中した。コピュラ属詞文分析は,非動詞文にコピュラ省略とみなしがちなものが多いので,重要になる。コピュラが関係するのは1.人称自動詞絶対構文(X-copule),2.人称属詞/位格構文(X-copule-Y-),3.非人称属詞/位格構文([Il/Ce]-copule-Y-),の3種である。1.はほとんど存在せず,非人称主辞には範列の閉じているceも含まれる。コピュラには属詞と位格に関係する2種あるが,位格は省略しえないし,また具体から抽象へ連続体なので,位格も属詞に近い。 人称構文主辞が非人称構文動詞の右に来て直接目的に類似するので属詞機能の認定が曖昧になる。人称構文は基本的に2項:「主辞-述辞-」で,非人称は無主辞(=非人称主辞)で1項:「Il-述辞」である。人称,非人称におけるコピュラ文,sembler,等の属詞動詞文での適切な属詞認定をすべきである(Luc semble [partir],Il semble [que Luc parte]:[ ]が属詞)。 フランス語では無人称とも言うべき非動詞文が確実に機能している。a.Les marrons chaudsは文ではないが,b.Chauds,les marrons!は文になる。c.Luc qui partとd.Et Luc de partirも同様である。e.Et cela pour la raison suivanteの独立性も明白である。b.の独立性はLes marrons sont chaudsとの関係には依存しない。b.の述辞はChaudsであるが,Chaudsは動詞文の属詞ではない。非動詞文構成の要点の一つに外心性(exocentrique: 1要素に収斂しない)がある点,非動詞文を意味的観点から動詞文に還元すべきではない点が重要である。
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