研究概要 |
特にドゥンガン語と中国語,ロシア語との関係の調査のためにクルグズスタン民族アカデミー・ドゥンガン学中国学研究所,ドゥンガン語新聞編集部を訪問した.さらにドゥンガン人の居住するアレクサンドロフカでドゥンガン語話者数人と会い,ドゥンガン語の中国語方言学の観点からの言語学的調査を行った.また,研究協力者をクルグズスタンに派遣し,アレクサンドロフカのバザール,商店で言語使用に関する観察を行い,アレクサンドロフカ第一学校での授業参観,学校長へのインタヴュー,同付属博物館の見学,ドゥンガン人家庭,ドゥンガン文化センター,ドゥンガン語元アナウンサー,元ディレクター訪問を通してドゥンガン語音声資料を収集し,ドゥンガン関係資料(pdf file等)を入手した. 研究分担者はウズベキスタンの方言学者アジズ・ジュライェフ氏を招聘して,ウズベク語方言研究と規範化の現状などについての意見交換を行った.またジュライェフ氏は東京外国語大学のチュルク学関係者,付属図書館,国立東京博物館,東京大学文学部等を訪問し,東京大学では林徹教授(チュルク学)と,東京外国語大学では島田志津夫氏とウズベク語教育に関する意見の交換を行い,かつ東京外国語大学ロシア語教員と中央アジア研究に占めるロシア語の位置,教育に関する情報を交換した.かつ「ウズベク語:昨日と今日」と題したウズベク語の現状と研究状況に関する講演を研究者や学生たちに行い,ウズベキスタンの言語状況に関する最新の情報を提供した.
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今後の研究の推進方策 |
ドゥンガン人に関しては,徐々にではあるが,関心を持つ人々が日本にも少なからずいる可能性があり,研究会を組織することを考えている.しかしそれらの人々のロシア語の能力不足に鑑みて特にドゥンガン語については基本的な文献の日本語訳を準備する必要を感じる.この点で特にドゥンガン関係の論文集の刊行を予定している.またウズベク語を中心とするチュルク語方言学及びウズベク語とタジク語の関係については引き続き基本的な研究の継続を進める.中央アジア高麗語に関しては最近韓国で研究の進展が著しいが,なおも基礎的研究の不足が見られ,特にそのアクセント研究の充実化を図る.
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