(具体的内容) 1)研究資料の収集や現地研究者との情報交換などを目的としてスペインのオヴィエド市およびその周辺地域を対象に3週間弱(7月28日~8月17日)の出張を行なった。近年、アストゥリア語については、アカデミアやオヴィエド大学などによる言語学的研究の成果をもとに毎年夏期言語講習会などが組織されている。出張では、講習会にも出席し、オヴィエド大学のアナ・カノ教授などから、近年の研究状況などについて詳しい情報を得ることが出来た。 2)アカデミアやオヴィエド大学、またオヴィエド市の図書館などで研究資料の収集を行なった。また、シション市博物館が行なっている方言民族音声資料データも入手したので今後の分析の対象とすることが出来る。 3)今回この研究費の枠の中ではポルトガルへの出張は行なわなかったが、オヴィエド大学でもミランダ語に関する研究は行われており、それに関する資料は収集した。ポルトガルの研究者とは恒常的に密に連絡を取っており、来年度以降の調査等についても打ち合わせている段階である。 4)資料や研究史の整理をおこなった。過去に研究代表者がポルトガルのミランダ・ド・ドーロ地域で直接現地で録音した音声資料についても部分的な整理を行なった。 (意義と重要性) 講習会への出席や現地の人々との接触を通じてアストゥリア語の運用能力を相当程度高めることが出来ただけでなく、現在の言語状況の大まかな概観を得ることが出来た。日本ではこの分野の本格的研究者はほとんどいないので、現地で直接調査した意義は大きい。また、アストゥリア語とガリシア語の中間的様相を示すガリシア・アストゥリア語についてもかなりの情報や資料を入手することが出来た。
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