研究課題/領域番号 |
22520425
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
風間 伸次郎 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (50243374)
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キーワード | ツングース諸語 / 危機言語 / コーパス / 現地調査 / 原文テキスト |
研究概要 |
1.海外実地調査による資料収集 春休みの期間を利用して、中国・満洲での実地調査を行った。対象となった言語は満洲語であり、全く新しい資料の採集を行うことができた。資料の収集に際しては、基礎語彙、基礎例文、モノローグによるテキストを収集することができた。基礎語彙に関しては、話し手によるパロールの次元での違いを考慮し、数人からの調査を行った。写真やビデオなどの映像データも多く収集した。録音はデジタルのICレコーダーで行った。 2.研究成果の発表、刊行と現地還元 12月の札幌での研究会において先人のツングース諸語研究に関する発表を行った。下記の論文、ならびにナーナイ語のテキスト集を2冊、刊行した。このテキスト集には貴重な録音に基づくものや、話の筋から見て日本の民話との関連から非常に興味深いものなどを含んでいる。音声DVDがつけられていて、元の音源をたどれる点も重要な成果である。郵送により発送し、語り手とと現地教育機関等に配布する予定である。国内の研究所機関ならびに記述言語学に携わる諸研究者にも発送の予定である。 ツングース諸語の研究はこれまで多くがロシアで行なわれてきたが、最近ではロシアでの困難な経済情勢からその研究自体も危機的状況に立たされている。ツングース諸語の母語話者がますます減りつづけ、言語の滅亡の危機がせまっている今、できるだけ早く詳細かつ正確な言語学的記録を行うことが急務である。資料の収集は緊急を要しており、収集と整理・刊行にあたる必要性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度も現地調査により、きわめて貴重な資料を多く収集することができた。 今年度も既に2冊の成果を刊行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に、夏期・春期の授業休業期間を利用して、現地調査を行う。具体的にはハバロフスク州のナーナイ語諸方言、および同州ウリチ地区のウルチャ語を研究する。さらに中国領内蒙古自治区のソロン語を研究する。わずかながらまだ物語を語ることのできる貴重な話者がいらっしゃるので、その録音を優先しつつ、これまでに蓄積してある録音の書きおこしをすすめる。現地では言語学的資料のみならず、言語の解釈にも重要な民族的事物の写真や映像の記録も行う。
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