本研究ではいわゆる「スンディック諸語」ムについて比較研究を行った。ジャワ語、スンダ語、マレー語、バリ語などにおいては、インドネシアタイプの態のシステム、つまり、鼻音接頭辞(me)N-がActor voiceを、動詞の無標の形+人称マーカーという形がUndergoer voiceを標示する。一方、ササク語の一部の方言とスンバワ語においては、インドネシアタイプの態のシステムは見られず、鼻音接頭辞(me)N-はactivityを表す自動詞として用いられる。後者の状況に対して、本来の態のシステムの退化として考える仮説と、鼻音接頭辞の本来の機能activityの残存として考える仮説の二つを提示した。
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