ハンガリー語動詞接頭辞の多義性は、基本的な空間的用法(イメージ・スキーマ)がメタファーやメトニミーにより意味拡張された意味ネットワークとして記述できる。完了アスペクト機能は、空間移動のイメージスキーマが、メタファーにより状態変化として捉えられ、結果状態に焦点が置かれて前景化(終端焦点化)した文法化の結果と考えられる。動詞接頭辞付加による対格の出現や、格の交替現象も、結果状態の前景化(終端焦点化)として説明できる。動詞接頭辞付加により生じる微妙な意味の差異も、移動のイメージスキーマのどの部分が前景化されるのか、背景化された過程のどの部分が活性化されるかによって説明可能である。
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