研究概要 |
研究代表者の米田は,9月にナミビアにて3週間の調査を行い,東ヘレロ語の語彙調査と声調に関する調査を行った。さらに,比較のために中央ヘレロ語の調査も行った。中央ヘレロ語についてはすでにいくつかの先行研究があるが,それらの中でテンス・アスペクト・ムードの体系が十分に示されていなかったため全体像が見えてこなかった。今回の調査ではテンス・アスペクト・ムードの体系をそれぞれの活用の声調形とともに明らかにすることができた。また複文の活用を調べる中で,これまで報告されていなかった節連結の形式を見つけることもできた。これらはアフリカ言語学や対照言語学の研究会で報告し,テンス・アスペクト・ムードの体系については論文を発表した(11.「雑誌論文」参照)。複文の節連結については現在論文を執筆中である。 アフリカ言語の研究者は世界的に見ても数が限られており,国際的な研究協力は必須である。今回のプロジェクトでは諸外国の研究者との積極的な研究交流および研究協力を目指している。8月にはオランダでアフリカ言語学会が開催された際にケルン大学(ドイツ)とロンドン大学(英国)のヘレロ語研究者と研究会を開き,データおよび意見の交換を行った。9月のナミビアでの現地調査にはその研究会でのディスカッションの内容を反映させた。また2月にはロンドン大学で開催されたAfrican Linguistic Research Groupの研究会に出席し,米田は9月の調査結果であるテンス・アスペクト・ムード体系について報告した。 連携研究者の永原は,文書史料を収集し,19世紀から現代までのナミビアとボツワナのヘレロ人の移動に関する基礎的史実を明らかにした。
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