研究概要 |
研究代表者の米田は,9月にナミビア東部にて3週間の現地調査を行った。調査内容は、前年度に行った東ヘレロ語の動詞の声調およびにテンス・アスペクト・ムードの体系に関する調査内容の確認(特に論文執筆中に出てきた疑問など)を行い、その後、昨年度に引き続き複文に関する調査を行なった。特に名詞修飾節、節連結の形式、類似した接続詞の使い分けなどを中心に調査を行ない、ヘレロ語の複文に関する新たな知見を得ることができた。今回のヘレロ語の調査で得られた成果の中から名詞修飾節に関する研究を他のバントゥ諸語との比較研究に発展させ、ワークショップで発表した。またヘレロ語の文法スケッチを執筆し、『アフリカ諸語文法要覧』の中に掲載した。これらについては11.「研究発表」を参照されたい。節連結に関しては、さらに日本語との対照研究に発展させるべく、分析を進めている。 アフリカ言語の研究者は世界的に見ても数が限られており,国際的な研究協力は必須である。今回のプロジェクトでは諸外国の研究者との積極的な研究交流および研究協力を目指している。昨年度と同じく、2月にはロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)で開催されたAfican Linguistic Research Groupの研究会に出席し,米田は9月の調査結果である節連結に関して報告した。また24年度秋に開催予定の国際バントゥワークショップについての具体的な計画を詰め、そこで共同発表する研究内容についての相談をした。 連携研究者の永原は,昨年度に引き続き、文書史料の収集につとめ、それらの史料の整理・分析を進めることで、19世紀から現代までのナミビアとボツワナのヘレロ人の移動に関する基礎的史実を明らかにした。
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