研究代表者の米田は、23年度までに収集したデータを基に節連結に関する調査結果を論文にまとめ、確認・補充が必要なデータを洗い出した。8月にナミビア東部において行った現地調査でデータの確認と補充をした。24年度の現地調査では、主に名詞修飾節の形式と意味関係に関する調査を行なった。名詞修飾節については、23年度にヘレロ語とスワヒリ語の比較研究という形で口頭発表を行ったが、そこに今年度のヘレロ語の調査結果を加えて論文にまとめた。これは25年度に出版する予定である。また2013年3月には共同研究者の森本雪子氏(ベルリン・フンボルト大学)を大阪に招聘し、阿部優子氏、品川大輔氏と共にヘレロ語とマテンゴ語の情報構造についての共同研究を行い、名古屋で開催された研究会において4名でバントゥ諸語の項構造に関する発表を行った。 連携研究者の永原は、23年度までに収集した文書史料の整理・分析を進め、19世紀から現代までのナミビアとボツワナにおけるヘレロ人の移動に関する基礎的史実を明らかにし、現在のヘレロ語話者コミュニティの分布との関連を検討した。2月には、京都でナミビア研究者が集まる研究会に米田・永原ともに出席し、情報と意見の交換を行った。 本プロジェクトでは諸外国のバントゥ諸語研究者との積極的な研究交流および研究協力を進めていくことも目標のひとつである。24年度はバントゥ諸語研究者Lutz Marten氏(ロンドン大学)、Nancy Kula氏(エセックス大学)をイギリスより招聘して11月10・11日に国際バントゥ諸語ワークショップを開催した(於:大阪大学中之島センター)。バントゥ諸語研究に関する国際的なワークショップの開催は日本では初めてのことであったが、活発な意見交換を行うことができ、大変有意義な機会となった。さらに次年度以降の国際共同研究についての具体的な計画を立てることもできた。
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