研究課題
研究代表者は1983年にパソコンを利用した言語地理学データ処理システムSEALを開発、マニュアルを出版、プログラムを公開するとともに、実際の調査資料への適用結果を論文発表して、「パソコンによる言語地理学」を提唱した。言語地理学におけるコンピュータ利用のメリットの一つは、多数の言語地図を総合しての分析が可能なことである。このうち統計学を駆使した分析は、欧米の方言学で計量方言学(dialectometry)として近年盛んになっている。SEALは開発の初期段階から言語地図を総合し、その結果を地図上に表示する機能を持ち、改訂にあたってその機能を維持発展させてきた。ICTの発展に応じたSEAL整備の継続とともに、複数の言語地図の比較・総合による言語データの分析の応用と発展、その公開方法の検討を目的として、研究を推進する。平成22年度は、徳之島方言、新潟方言などの日本方言資料の電子データ化とその分析を行い、GISを利用した分析やWEBを利用した公開をするための準備を行った。また、異なる言語地理学データの比較・総合についての考え方とその実例を論文等で発表した。代表的なものについて概説する。1.分布をどう読むか(福嶋2010)言語地図をどう読み、どう描くかということについて、単一項目の言語地図の作成、類似の分布を示す複数の言語地図の総合、さらに異なる世代を対象にした言語調査の結果の比較の三点から例をあげて論じた。2.Integrating Linguistic Maps to Show Scholarly Interpretation (Fukushima 2011)分布から歴史を読み取り、その解釈を明瞭に示す言語地図を描くことで、言語変化のプロセスが明らかになるが、解釈の元に行う言語地図の総合も有効であることを示した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
Dialectologia http://www.publicacions.ub.es/
巻: Special Issue I(2010) ページ: 47-61
日本語学の12章(上野善道監修)(明治書院)
ページ: 35-47
Slavia Centralis
巻: 1/2010 volume III ページ: 124-131
http://www.unii.ac.jp/~chitsuko/inet/index.html