研究概要 |
1)近世ドイツにおける文書の社会語用論的視点からの分析に向けて、文書作成意図によるテクスト類型論について予備的考察を行った。 2)ドイツ宗教改革運動における文書の役割を民衆教化という視点から考察し、その成果を論文『Schriften als Kampfinstrument"des gemeinen Mannes"-Die deutsche Literatur des Reformationszeitalters』にまとめ、武蔵大学人文学会誌に発表した。 3)民衆教化文書の具体的なテクスト形式について考察し、その成果を論文『ドイツ宗教改革期における民衆教化文書』にまとめ、日本独文学会機関誌に発表した。 4)テクストの修辞学・文体論的分析方法の一般的有効性を実証する試みとして、それを現代文学作品に適用することによって明らかにし、その成果をワルシャワにおける第12回国際ゲルマニスト学会において発表した。 5)研究補助者にFreytagおよびKohlerによるFlugschriftenのコレクションをパソコンに入力してもらい、近世文書資料のデータベースを拡充した。 6)ボン大学、ベルリン自由大学に出張して、カトリック陣営とプロテスタント陣営のそれぞれの側からの演劇による民衆教化のための作品の資料調査を行い、文献リストを作成した。 7)W. Besch, F. Simmler教授と面談し、16世紀ドイツの宗教改革運動における民衆強化文書、および、そこにおける言語に関して意見交換を行った。研究の進展の上で新たな知見を得ることができた。 8)J. Erben, W. Hoffmann, H.-G.Roloff教授と面談し、近世ドイツ語統語論、文書類型、民衆教化運動、演劇活動などのテーマに関して最新の情報を収集し、意見を徴した。
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