研究課題/領域番号 |
22520460
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
近藤 明 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50178406)
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キーワード | 日本語史 / 可能表現 / 難易表現 |
研究概要 |
文法化の観点からの研究については、22年度においても考察を進めていた形容詞系の容易表現「~ヨシ/ヨイ」の語史について、論文を発表した(「13.研究発表」参照)。これによって、従来の研究成果と合わせて、形容詞系の難易表現については一通りの語史をまとめ得たことになる(ちなみに当該論文は所属機関の紀要に発表したものであるが、学術情報レポジトリ「KURA」に登録され、インターネットを通じて全世界から閲読が可能である-「15,備考」参照)。これに関しては、上接動詞について「非能格自動詞」「非対格自動詞」といった観点をとることの有効性の検討や、容易表現と困難表現の相違・その理由といった新たな課題も得られた。動詞系の可能表現「~アフ(下二段)」「~ヤル」「~カヌ」等については、関連する比較的近年の研究成果(「アフ」に関する小倉健太氏の論やテンス・アスペクト史に関する最近の研究)を取り入れることに意を用いたため、23年度内に具体的な成果を発表するには至らなかったが、考察を深めることができた。 また、可能表現・難易表現と隣接関係にあると思われる表現については、危惧表現について口頭発表を行い(「13.研究発表」参照)、可能表現・可能性表現との近接性、古語における危惧表現の研究の方法等について、一定の成果を得た。この成果を踏まえて、古語における危惧表現の輪郭の素描、更に危惧表現史といったものが描かれる可能性についてある程度の見通しを得て論文の形にすることを目指すが、この課題については23年度内において想定・計画をやや上回る進展・見通しが得られたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
9で述べたように、形容詞系難易表現の研究は23年度内において順調に進展しており、動詞系可能表現については23年度内に具体的な成果を発表するに至らなかったが、近年の研究成果を取り入れて考察を深めることができた。危惧表現の研究は計画・想定をやや上回る成果・進展が得られた。研究全体としてはおおむね計画通り順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
「研究の目的」「研究実施計画」に基づき、23年度までに具体的な研究成果を発表するに至っていない動詞系可能表現「~アフ」「~ヤル」「~カネル」「~カネナイ」等に関する諸課題についての研究成果をまとめるとともに、口頭による学会発表のみを行った危惧表現についても論文の形にまとめ、古語における危惧表現の輪郭の素描程度の段階に到達することを目指す。23年度内に論文を発表できた形容詞系難易表現についても、上接動詞を捉える視点の検討や困難表現と容易表現の対比等によって、研究成果の更なる深化を目指す。またこれらの成果をふまえ、可能表現・難易表現における文法化の方向性、可能表現・難易表現と配慮表現、可能表現と危惧表現の関係等について、一定の展望を得ることも目指す。
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