研究概要 |
平成24年度は、これまで収集した資料を整理し、分析を行った。アクセントの面では、坂井市三国町安島に近い越前町小樟方言において、3型アクセントを発見し、安島方言との比較を行ったが、安島方言のアクセントは、3型であるとは断言できず、2型アクセントの変種と考えられる。また、安島方言の特徴的なffの重子音に関して、北琉球方言、宮古八重山方言の新資料と比較を行った。琉球語のいわゆる喉頭化音の由来には、rの消失に伴う「代償延長」による長子音(重子音)の発生が関係しており、それが単音化するとき、喉頭の緊張を伴う子音に変化する可能性がある。これらは安島方言の変化の推定から支持されると考えられる。 また、最終年度のまとめとして、主たる成果の英文翻訳に取り組み、報告書『越前海岸の方言―音声特徴と風位語彙―』(2013年3月刊)を作成した。報告書には、「福井県三国町安島方言のmaffa《枕》等の重子音について」(『音声研究』15-1, pp. 6-16, 2011年4月)と安島方言の風位語彙を扱った、MAKI, Keisei "A Wind-Direction Word Study in Hokuriku District"を収録した(真木啓生は代表者とともに越前海岸の風位語彙について共同研究を行った)。
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