古代語から近代語へと、順接条件の接続辞がどのように移り変わったのか、変化のしくみとそれを推し進めた日本語史的背景について考察した。その議論の中で、特に近世後期以降の変化を説明するには、中央語から地域語へ(上方・大阪語)、逆に地域語から中央語へ(江戸・東京語)といった位置づけ変化を視野に入れる必要があることも明らかになった。また、言文一致体と一括される文章・文体の多様性について具体的に観察することによって、条件表現の歴史を理解するにあたっては、標準的なる近代日本語というものの存在・影響を適切に勘案しなければならない部分があることについて、一定の見通しを得た。
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