研究課題/領域番号 |
22520469
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮崎 和人 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20209886)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 認識的モダリティー / テクスト構成的機能 / 可能 |
研究概要 |
現代日本語のモダリティーの組織化のあり方をめぐって考察を行い、以下の三点について、具体的な成果を得た。 1)「だろう」は、「らしい」「ようだ」などとともに認識的モダリティーを表現するモーダル・システムのメンバーであり、証拠性において「らしい」と対立すること、また一方で、「する」と「するだろう」は認識のし方をめぐって対立する認識的ムードの形式であることを主張し、「だろう」の多義性をめぐって、スキーマとプロトタイプを統合するラネカーのネットワーク・モデルを援用した分析や、「する」と「するだろう」は、認識の側面のみならず、情報構造の側面でも対立するとする工藤真由美の機能主義的なアプローチ、さらに高次の議論として、ギヴォンのコミュニカティブ・アプローチの有効性を示唆した。 2)従来、推量の研究と説明の研究は個別に行われているが、テクストの構成要素としての文にとって、論理的なむすびつきは義務的であって、認識的モダリティーと文のテクスト構成的機能の相関性について考察する必要がある。この観点から、「だろう」「のだろう」「らしい」をともなう文の機能を分析し、それを踏まえて、「にちがいない」が「のだ」をともなわずに説明として働くことを、多数の用例にもとづいて実証し、その理由を、モーダルな意味と論理的な態度のむすびつきに求めた。 3)モダリティーを文の対象的な内容と現実との関係と規定する立場にたって、レアリゼーションの観点から、可能表現の文について考察し、レアリティーと時間的なカテゴリー(時間的限定性やテンポラリティー)との相関性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個別的な課題の成果を公表していくにつれ、文法化を、カテゴリーの複合性と相関性の問題として論じるための枠組みが整ってきている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、現代日本語のモダリティーをめぐって、カテゴリーの複合性と相関性に関する言語事実の記述を積み重ねていくとともに、関連する課題で最先端の研究を行っている内外の研究者たちと意見交換を行うことにより、理論的な基盤をさらに強固なものにしていきたい。
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