今年度においては、主に景頗語の「限定助詞」であるshaについて研究し、次のようなことを解明した。 1.名詞や指示詞について、単純な限定を表す。 2.名詞、形容詞、動詞などにつき、また、その後に「ではなくて」に相当する形を従えて、複文の従属節を作る。意味的には上の1とそれほど変わらない。 3.「小」極指示詞につき、その「小」を取り立てる。「小」極指示詞とは、「大きな」に対する「小さな」のようなものである。 4.近い過去を表す時間表現につき、それを取り立てる。言い換えれば、遠い過去について語る表現には使われない。 5.仮定節における主要名詞句につき、仮定のニュアンスを取り当てる。 6.副詞の後語尾として使われ、日本語の「に」や「と」に似ている。
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