研究概要 |
本研究の目的: 右枝節点繰上げ(RNR)等の等位構造が関わる右方移動現象の理論的・実証的研究に基づき、句構造の非対称性・線形化と構造的依存関係のメカニズムを解明する。 本研究の具体的内容及び意義・重要性: 1)RNR構文には全域的RNR構文と対称的RNR構文が存在し、一致効果が観察されるかどうかという観点で、3種類のRNR構文が存在することを明らかにした。(1)a.全域的RNR構文(RNR構文のin-situ削除分析):一致効果が見られる場合 I'm interested in_but rather apprehensive about their new proposal. b. 全域的RNR構文(RNR構文のin-situ削除分析):一致効果が見られない場合 Bill has toread two,and Mary must write one essay by tomorrow. c. 対称的RNR構文(RNR構文のex-situ多重支配分析)I borrowed_,and my sisters stole,a total of $3000 from the bank. 2)RNR構文に課される右端制約(RER)を満たすために重名詞句転移が適用されると仮定することで、Ince(2009)の分析とは異なり、トルコ語等のRNR構文の適格性に説明が与えられることを指摘した。 3)一致効果の欠如(動詞形態、数詞と名詞の数の一致、範疇のミスマッチ、否定極性表現、再帰代名詞の先行詞)の現象に基づき、全域的RNR構文のRNR要素が一番右側の等位項とのみ一致効果を示す場合があり、Citko(2011)のParallel Mergeに基づく多重支配分析には不備があり、全域的RNR構文の削除分析の方が優れていることを指摘した。 4)日本語の逆行等位構造縮約構文は、空所化ではなくRNRで導かれる構文であることを明らかにし、英語と同様に、削除規則が適用されて導かれる構文であることを明らかにした。
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