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2011 年度 実績報告書

多重構造仮説に基づく新しい統語的段階性の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 22520490
研究機関埼玉大学

研究代表者

牛江 一裕  埼玉大学, 教育学部, 教授 (10134420)

キーワード受動化 / 項構造 / 段階性
研究概要

本研究の目的は言語のさまざまな統語現象において観察される段階性・ファジーな性質について、統語構造として平行的な多重構造を仮定することにより,これまで考えられていなかった新しい種類の段階性を開拓し、それを理論化することにある。ここでの構造的な多重性とは、派生の段階・レベルとしての異なった表示ではなく、文がその統語構造として複数の構造を同時平行的に持ち、それらの構造が相互に影響を及ぼしあうという仮説である。そのような統語構造の多重性が文法のさまざまな部分で見られるファジー性・段階性とどのように係わっているのかを明らかにするとともに、多重構造が広く文法において果たす役割を実証的に示すことを目的とする。
23年度においては、生成文法においてこれまでなされてきた研究の中から、特に本研究の目的にとって関係の深い段階性・不確定性を含む統語現象に関する記述を抽出整理し、その理論的・経験的問題点を明確化する作業を引き続き行った。
具体的研究成果としては、受動化についてもっぱら動詞が取る統語構造にのみに拠るのではなく、おもに動詞の項構造により受動化の可否を説明する代替案を提案した。受動化の操作がレキシコンのレベルで行われると仮定することにより、統語的な違いにかかわらず受動化原理を適用することができること、それにより統語構造に依存するアプローチで問題となるケースについて統一的な説明を与えることができることを示した。その際、いくつかの要因が関係するが、それらの有無のみならず、強弱等の段階性が決定的に関わってくることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理論化するにあたっての全体的な基盤整備についてはやや不足している部分もあるが、部分的には大きく進展し、具体的研究成果も出ていることから、おおむね順調と判断している。

今後の研究の推進方策

最終年度であることから、これまでの2年間の成果をふまえつつ、扱う構文の範囲を広げるとともに、理論化に向けてさらに深く掘り下げ、精密化していくことを心がけたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Lexical Passivization (2) : An Approach Based on Argument Structure2012

    • 著者名/発表者名
      YOSHIDA Manabu, USHIE Kazuhiro
    • 雑誌名

      埼玉大学紀要教育学部

      巻: 61巻

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公開日: 2013-06-26  

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