前年度に引き続き,“コロケーション”研究で用いられる語と語の共起性の指標のうちt-scoreとMI-scoreを取り上げ,スコアの信頼性と妥当性についてさらに詳しく検討するとともに,最終年度として3年間の研究全体のまとめを行い,特に,心的実在物としての文法 (I言語) を研究する立場から,コーパスデータの文法研究資料としての性質,利用に際しての注意点について体系的に検討し,それまでの研究成果を有機的に統合することを試みた。また,コーパスデータの客観性・信頼性を高めるための具体的な方策として,チェックポイントのリスト化・共有,処理内容の明示化,仮説・前提の明示化,複数のコーパスでの検証,スコアの計算式・基準値の根拠等の明示化・検討,研究者間での情報の共有などを進めることの重要性・必要性を具体例を基に検討した。チェックポイントの一部は堀正広編『これからのコロケーション研究』(2012)において公開した。
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