研究課題
本研究の目的は、移動表現の類型論の中で今まで見過ごされてきた経路の直示性(ダイクシス)の表現(come, goなど)を考察することにより、移動表現の類型論の新しい全体像を示し、その中に日英語を位置づけることにあった。最終年度である本年度は、実験データの補足的収集とその分析、及び最終的考察・成果のとりまとめと研究発表を行った。データの分析に関しては、移動の様態と経路のほか、今までの研究で見過ごされてきたダイクシスに関して、最終的な統計分析を行った。具体的には、日英語における1)様態、経路、ダイクシスの言及条件と言及頻度、2)経路及びダイクシスの表現位置に関する日英語の相違についてである。前者に関しては、本研究での仮説である、様態、経路、直示の「卓立性と競合」という観点から説明を試みた。後者に関しては、経路とダイクシスの下位分類に注目し、<上へ><中へ><~まで>という三種類の経路,及び<話者の方へ><話者から離れて><話者とは中立>の三種類のダイクシスに分けて分析を行った。日本語が必ずしも典型的な経路主要部表示型言語ではないこと、英語がかなり一貫した経路主要部外表示型言語であることが明らかになった。成果は、3つの国際学会における口頭発表の形でまとめられた。6月にカナダで行われた国際認知言語学会では、三種類の経路と三種類のダイクシスが見せる変異について発表し、11月にサラゴサで行われた移動表現に関する学会では、様態、経路、ダイクシスの言及頻度について、さらに、2月に東京で行われた類型論の学会では、経路の表現位置に関して発表を行い、その成果を国内外の学者と共有した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
国語研プロジェクトレビュー
巻: 4 ページ: 161-196
http://www.lit.kobe-u.ac.jp/~yomatsum/motionbiblio.html