総称文には潜在的に法助動詞mustと同じ法性が含まれているとの仮定に基づき、数量化という視点から総称文の読みの可能性について、統一的な説明を目指した。本年度の成果を簡単にまとめると以下のとおりである。 従来から、不定単数形主語を持つ総称文については、主語と述語の間に本質的な関係が必要であると言われている。例えばテーブルの脚は必ずしも4本とは限らないので、(1b)は不適切である。 (1)a.A dog has four legs. b.#A table has four legs. ところが、主語が無冠詞複数形であれば、どちらも総称文として問題ない。 (2)a.Dogs have four legs. b.Tables have four legs. 問題は、無冠詞複数形と異なり、不定単数主語は本来的に一個体を指すだけで、種全体を指すことができないところにある。 もし、(1b)にusuallyやmustなどの数量詞が共起すれば、(1b)も総称文と同等の解釈を受けることが可能になる。 (3) a.A table usually has four legs. b.A table must have four legs.(テーブルは4本脚でなければならない) (1a)における、本質的な関係とは「犬は4本脚でなければならない」ということであり、潜在的に法助動詞mustを含んでいるのと同等であるということである。すなわち、数量化という視点から、複数形、頻度副詞、法助動詞という明示的な場合と、(1a)のような潜在的な場合が統一的に捉えられるようになるのである。
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