Goldberg(1995)は、He hammered the metal flat(He hammered the metal)のように動詞がもともと目的語を取れるタイプの結果表現と、He laughed himself silly(^*He laughed himself)のように動詞が目的語を取れないタイプとを統一的に説明できるとしている。しかし他動詞に基づく結果表現と自動詞に基づく結果表現を詳しく調べてみると、両者はやはり区別すべきことが判明した。 1. 他動詞に基づく結果表現では、目的語位置に生じる物体は必ずforce-recipientでなければならない。これは下位範疇化された目的語を伴う場合(wipe the table clean/wipe the table)のみならず、伴わない場合(wipe the crumbs off the table/^*wipe the crumbs)でもそうである。 2. 一方、自動詞に基づく結果表現では、目的語位置に生じる物体はforce-recipientになっていない。例えばHe cried his eyes outにおいて、彼は目に一切触れていなくてもよいのだから、forceを伝達しようがない。 3. ただし自動詞に基づく結果表現でも、Rothstein(2004)のように動詞の表わす事象と結果事象との間に因果関係がない、と言うのは言い過ぎである。He cried his eyes outやHe laughed his head offのような例では、身体部位が激しく動いた結果の状態を表わしている。またThey laughed the singer off the stageやShe drank him under the tableにおいては、動詞の表わす行為を特定の文化的スクリプトに埋め込んだ結果、因果関係が生じてくる。
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