平成24年度はgetの意味用法を理論的枠組みで分析を加えた。特に中心となる意味概念をcome(1人称あるいは2人称のところへ移動してくる)と仮定し、この概念がどのように拡張していくのか、また拡張していく段階で概念の変化があるのかどうか、さらに人間の認知発達がどのように語彙項目に影響を与えて、文法化(grammaticalization)が進むのかを考察した。特に下位範疇としていわゆる文型として捉えることが出来るものとイディオムとして捉える可能性がある構文の拡張について調べ、getを用いた受動態、使役動詞としてのget、イディオムとして捉えることの出来るget+to不定詞、get+~ingがどのように拡張するかを考察した。意味概念comeを中心とした基本的な拡張は「言語習得におけるgetの拡張について」Kanazawa English Studies28で論じている。また、get-passiveについては「A note one get-passive in dynamic view」として金沢大学英語研究会において発表し、イディオムとして捉えられるget+to不定詞とget+~ingについては「A note on get -ing & get to-infinitive in dynamic & Cognitive view」として発表をした。getの拡張では単なる移動という概念ではなく、話者(あるいは聞き手)のところへ別の起点から移動してくる(いわゆるcomeの概念)が重要である。またこの基本概念は意味概念の拡張に伴って消失していくメカニズムをさらに解明する必要がある。(例えば、get ~ingは~し始めるの意味となり、~ingの動作が動作主のところへ「やってくる」と考えれば若干の内容が残ると考えられるが、comeの概念がかなり消失しているとも考えられる。)
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