本研究の目的は、現在では知ることのできない近代英語期の口語表現の特徴を、複数のコーパスを比較しながら、歴史語用論的視点から質的・量的分析によって探ることにある。主として扱うコーパスは、研究代表者の椎名自身が編纂に関わった『イングリッシュ・ダイアローグ1560-1760』で、ここに収められた様々なジャンルのテキストにおけるディスコース・マーカーに注目し、その形態と語用論的機能をコーパス横断的に調査し、データ間の類似点と相違点を通時的・共時的に探ることによって、近代英語期の口語表現の全体像を捉えるために分析した。 本年度は、国内の他言語の研究者と共に、歴史語用論の論文を執筆し、論文集の編集作業を行った。『イングリッシュ・ダイアローグ1560-1760』のなかの裁判記録において、どのような呼びかけ語が、どのような対話者の間で使われているのかを分析し、発話におけるスピーチ・アクトへの影響を分析した。 また年度末に国際コーパス学会(スペインのアリカンテ大学)に出席し、国内外のコーパス研究者との意見交換を行った。
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