研究課題/領域番号 |
22520514
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研究機関 | 広島女学院大学 |
研究代表者 |
山本 武史 広島女学院大学, 文学部, 准教授 (40412291)
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キーワード | 音節量 / 音節構造 / フット構造 / onset-sensitivity / 頭子音 / データベース / 英語 / 日本語 |
研究概要 |
本研究の目的は、英語のさまざまな音韻・形態現象の説明に有用な音節量の計算において、従来あまり扱われてこなかった頭子音の有無・種類、および尾子音の種類が果たす役割を明らかにし、音節量と音節構造、フット構造との関係を再考することである。また、比較のため日本語の音節量、特に今まで全く触れられてこなかったそのonset-sensitiveな性質についても検討する。 本研究の目的のためには適切なデータベースが不可欠であり、語の分節素、アクセント位置、形態構造、品詞などの情報が必要である。 英語については、収録語数の多さ、処理しやすいテキストデータへの変換可能性などからOxford English Dictionary(1989)のCD-ROM版ver.1.0がデータベースのデータとして最適であると思われる。また、同じくデータがテキスト形式で収録されており、機能は限定されるが使用頻度の高い語彙のみを収録していると考えられるCambridge Dictionary of American English(2000)付属のCD-ROMを基にしたデータベースの構築も比較のために必要である。本年度はこの2つのデータベースを使用して無強勢音節の位置(強勢音節からの距離)と音節初頭および末尾の子音との関係を調べた。また、それに関連して英語のソノリティー階層を再考した。 日本語のデータベースの基にするには『新明解日本語アクセント辞典』(三省堂、2001)が最適であると考えられる。この辞典は一般の国語辞典と違い発音辞典であるから品詞、形態情報等は含まれていないが、各見出し語に編者が品詞、形態情報、語種等から分類した「アクセント習得法則」の番号が付されており、本研究の目的に関しては一般の国語辞典より情報量が大きいといえる。本年度は前年度に引き続きこのデータベース構築のために入力作業を進めたが、いまだ完成には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本語に関する研究はデータベース構築のためのデータ入力が遅れているが、英語に関してはおおむね当初の研究計画通りに進んでいる。また、当初の研究計画にはなかったが、両言語のソノリティー階層について再考する必要が生じ、これについても一定の研究成果があった。以上のことを総合して「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
日本語に関してはデータベースの完成を急ぐが、同時にその完成を待たずに先行研究のデータ等に基づいてonset-sensitivityを検証できないかを考える。 英語に関しては、平成23年度の研究により音節初頭および末尾の子音のソノリティーに加えて舌頂性が音節量に影響を与える可能性が出てきた。本研究課題の最終年度に当たる平成24年度においては、データベースによりこれを検証し、無強勢音節の音節量の計算に関して結論を出したい。
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