平成25年度は第二言語話者のコミュニケーション能力を相互行為の枠組みを通して捉えることの意義を、近年になって広く用いられるようになった言語能力評価基準(スタンダード)との関連において議論する作業を主に行った。 たとえば、欧州におけるCEFRや日本における「JFスタンダード」で用いられる能力記述文は、第二言語話者の言語的産出の結果に焦点化しており、こうしたスタンダードに依拠した言語能力評価の方法は、教育的制度的ツールとしての有用性をもつ一方で、人々の現実の言語活動の場面依存的で相互行為的な側面を捉えきることができない。 本研究では、第二言語話者の言語能力を評価する際には、実際のインタラクションの過程に目を向け、そこで観察される言語活動への参加を調整する能力を記述することが重要であることを例証した。本年度の研究成果は柳町(2013)、柳町(2014)において学会発表および論文発表されている。
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