研究課題/領域番号 |
22520522
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
本郷 智子 東京農工大学, 国際センター, 准教授 (60401452)
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研究分担者 |
山崎 真弓 東京農工大学, 国際センター, 非常勤講師 (80571190)
広田 妙子 東京農工大学, 国際センター, 非常勤講師 (50571189)
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キーワード | 会話教育 / 相互行為 / 振り返り / データベース / 会話技能 / 学びのプロセス / 共有化 / 教育システム |
研究概要 |
本研究の目的は、「他者との相互行為的なコミュニケーションにおける話し言葉能力」を養成する会話授業の実際を記述・分析し、その結果を教授者間で共有することにより、日々の授業実践を改善する教育システムを構築することにある。23年度は、以下の課題に取り組んだ。 1.22年度に作成した会話タスクの会話技能別分類表を基にレベル別会話教育のシラバスの見直しを行った。 2.言語行動・非言語行動において学習経過とともに顕著な変容が観察された学習者の学びのプロセスを縦断的に記述・分析した。結果を国際大会で発表した後、実践報告として論文発表した。 3.データベース化の構築を簡素化した。担当する教員へのインターフェイスを向上させることを目的とし、データ入力の簡素化を行った。録画・音声資料は「実践」場面でのデータのみをデータベース化し、将来的には会話技能養成に特化した教材作成を目指すこととした。 4.2つの方向性で理論的な掘り下げを行った。ひとつは相互行為をマルチモーダルに分析する手法の理論的探索、もうひとつは相互行為を支えるコンテキスト依存性の社会言語学的理論の探求である。後者については、国際学会で発表したのち、英語論文として発表した。 5.日本人学生に対する上級学習者のインタビューを資料に多人数による相互行為の記述・分析を行った。上級学習者に求められる会話技能の考察を行い、研究大会で発表した。 24年度はデータベース構築の実現に向けて、資料の整理を継続する。会話授業を構成する様々な要素をリンクし、電子媒体による会話教育テキスト開発へとつなげる。また、本研究による成果報告を報告書の形で公表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データベース構築作業において、遅れがある。夏期、震災後の節電対策により授業日数および作業日数が減ったことが主たる原因である。また、研究の関心が当初、23年に計画していた「振り返り」場面の分析から、「実践」場面のより多面的分析に移行した結果、データベース構築における作業がさらに複雑になってきていることも副次的な原因として考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2つの方向性を考えている。ひとつは、これまで、相互行為のデータ分析として、言語行動および非言語行動の2項対立で考える傾向にあったコミュニケーション行動の分析を総合的にマルチモーダル分析という研究手法で行ってみることである。残り1年で行えるマルチモーダル分析は限られたものになるかもしれないが、研究手法の獲得はその後に研究推進に役立つと考える。もうひとつは、データベース構築の目標修正である。授業の実際をデータベース化する目的を教員同士の情報共有化という点に留めず、将来的にはデジタル教材の開発を行うこととし、広く公開できるデータベースの構築を目指す。
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