研究課題/領域番号 |
22520524
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
池田 裕 電気通信大学, 国際交流センター, 教授 (60184438)
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キーワード | 異文化コミュニケーション / 言語行動 / 依頼 / 遠慮・察し |
研究概要 |
本研究は、「依頼」の言語行動を、ロールブレイによる発話データから分析すると同時に、依頼の言語行動と深く関わると考えられる「遠慮・察し」がそこにどのように作用しているかを質問紙調査によって明らかにしようとするものである。異なる社会文化的規範を持つ学習者にとって、「依頼」の言語行動は、困難が伴うと考えられる。本研究では、中国語、韓国語、英語を母語とする日本語学習者の発話データを、母語話者のものと比較し、また「遠慮・察し」の意識の多文化間比較をすることにより、それぞれのグループの特徴を明らかにしたいと考えている。 平成23年度には、韓国で質問紙によるデータ収集を行い、韓国人のデータを増やすと同時に、平成22年度に引き続き、英語話者に関しては、ウェッブ上でデータ収集を行った。それらのデータを含め、収集したデータは、文字化や入力を進めている。 「遠慮・察しコミュニケーション尺度」自体に関しては、論文を1本学術誌に掲載し、口頭発表を1件行った。結果の分析としては、現在のところ、日本人と中国人のものを先に進めており、「遠慮・察しコミュニケーション」を支持する度合いは、全体としては日本人の方が中国人より高いことがわかっている。その分析をもとに、8月に「2012年日本語教育国際研究大会」において、『「遠慮・察しコミュニケーション」に関する比較研究・日中の大学生を対象とした質問紙調査-』を発表することになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記した通り、アンケート調査、発話データの補足収集をおこないつつ、その分析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、日本人と中国人における「遠慮・察し」と「依頼」に関する意識にどのような相違が見られるかの分析を進めており、11月に国際シンポジウムで発表する予定である。さらに、韓国語と英語に関しても分析を進めているが、今年度末までにはその結朱を国際学会等で発表し、報告書にまとめる予定である。
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