本研究の目的は次の2点である。(A)大学教育の中で日本人学生と留学生がともに学ぶ「多文化環境」を創出するために、「多文化間プロジェクト型協働学習」に基づく授業を行い、参加者間の相互作用を分析し、その関係性を明らかにすること。(B)収集された参加者の言説から、本授業の影響や効果を探り、より効果的な授業を創出すること。本年度は、10月~1月にかけて、日本人学生と留学生の混成グループがグループごとに鹿児島市内においてフィールドワークを行い、その結果をもとに最後に口頭発表を行うという「多文化間プロジェクト型協働学習」を実施した。この授業は、主に四つの部分からなる。まず、(1)フィールドワークの準備のための打ち合わせ、(2)フィールドワーク、(3)フィールドワーク終了後の口頭発表のための打ち合わせ、(4)口頭発表である。この中で、(1)及び(2)について、7グループの打ち合わせの様子をICレコーダーによる録音とビデオカメラによる録音を行い、音声データを文字化した。また、毎回の打ち合わせ終了後に提出する「振り返りシート」、授業終了後に提出するレポートや「振り返りシート」等も回収し、データとして整理した。文字化については、大まかな素起こしが終了した段階である。次年度では、文字化資料をもとに参加者間の関係性を明らかにするとともに、レポートや「振り返りシート」などに現れた参加者の言説から意識・態度などを探る。さらに、本授業の影響や効果を探るために、平成22年度の参加者にインタビュー調査を行い、後期に2回目の授業を試みる。
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