研究課題/領域番号 |
22520536
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
松田 陽子 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (80239045)
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研究分担者 |
野津 隆志 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (40218334)
久保田 真弓 関西大学, 総合情報学部, 教授 (20268329)
乾 美紀 神戸大学, 国際交流推進本部, 特命准教授 (10379224)
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キーワード | 母語保持 / バイリンガル教育 / 教授法 / 多言語 / 国際比較 |
研究概要 |
(1) 外国人児童の多様なニーズに対応するための母語学習支援体制の考察を行うため、国内調査は、以下の三つに重点を置いて研究を行った。 (a) 家庭の意識調査-これまで、学校内での活動や教師の意識を中心に研究を行ってきたが、母語支援体制の確立には、両親の意識や家庭の言語環境などが非常に重要であることが判明してきているので、家庭の言語実態・言語意識調査を行うこととした。アンケート調査や個別の面接調査も含め、外国人支援NPOの協力を得て実施している。来年度も継続して行う予定であり、結果の考察は来年度以降に行う。 (b) 母語学習教材・教授法開発調査-今年度は、ベトナム語教材を中心に、現在使用されているものを収集し、基礎研究を開始した。カナダの事例をもとに、ジム・カミンズ氏や中島和子氏からも示唆を受け、バイリンガル教育と母語意識の確立を目指し、多様なレベルの学習者を対象に行う教授法について、具体的なアイデアを検討中である。 (c) ウェブシステム構築基礎調査-ウェブを使った多言語支援サイトや母語学習支援に役立つサイトなどを広く調査した。そして、一方通行の情報提供ではなく、利用者や、教師、NPOなどの活用しやすい、双方向のシステムを開発するため、準備段階として、関西大学総合情報学部の喜多千草氏のグループの開発した「多言語・学校プロジェクト」の活用実態や改善のニーズについての調査を開始した。 (2) 国際比較調査として、オーストラリア、および、タイでの母語学習支援体制について、政策的観点の影響や、母語学習の意義のマクロな調査を含め、具体的な母語教育現場の課題などについて、現地調査を行い、論考にまとめた。特に、さまざまな移民の母語運用能力の開発が、社会の「多言語資源」とみなされ、地域社会政策や国家政策として開発が進められている状況について、その意義の分析を行った。
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