研究課題/領域番号 |
22520541
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研究機関 | 恵泉女学園大学 |
研究代表者 |
秋元 美晴 恵泉女学園大学, 人文学部, 教授 (20212441)
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キーワード | 日本語能力試験 / 重度視覚障害者 / テストのユニバーサルデザイン / 点字冊子試験 |
研究概要 |
本研究は、日本語能力試験のユニバーサルデザインをより一層実現するため、重度視覚障害受験者に対する点字冊子試験の問題冊子の作成方法および実施方法を改善することを目的とする。 平成23年度は、前年度に実施した調査データの分析、論文投稿、学会発表、さらに日本語母語話者(視覚障害者)を対象とした調査を行った。 1.調査データの分析(1)「聞き取り調査(前年度に実施)」の結果から、点字冊子試験実施の意義を明確にするために、視覚障害を有する日本語学習者の学習動機や本試験を受験する理由を整理した。(2)「解答速度測定調査(前年度に実施)」の結果を分析し、現在の日本語能力試験点字冊子試験の試験時間延長率が妥当であるとの結果を得た。(3)「イラスト触図調査(前年度に実施)」の結果から、立体加工をしたイラストから情報を読み取る過程を分析し、試験問題として使用する場合の困難さを明らかにした。 2.論文投稿(1) 1(1)の調査結果を記述し、『恵泉アカデミア』に投稿した。 3.学会発表(1) 点字問題冊子作成時の留意点として、漢字仮名交じり文を表音文字である点字に訳す際に起こる情報の欠落を補うために、点字冊子では注釈を付加している。その注釈付加の枠組みを、日本語教育学会春季大会にて口頭発表した。(2) 1(1)の調査結果を、世界日本語教育研究大会にて口頭発表した。(3) 1(2)の調査結果を、日本語教育学会秋季大会にて口頭発表した。 4.調査(1)恵泉女学園大学の協力により、視覚に障害を有する日本語母語話者を対象とした調査を行った。本調査は、現在、点字冊子試験で削除の対象となっている読解科目の「情報検索」を、点字冊子試験で出題することが可能かどうか、その可能性を探るためのものである。 なお上記1~4は、大学入試センターの藤芳衛(連携研究者)、日本国際教育支援協会の川端一博、河住有希子、込宮麻紀子、藤田恵(研究協力者)とともに行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、前年度に実施した調査データを分析し、学会発表等を行った。これにより、現在の点字冊子試験の妥当性の検証や、今まで明らかとなっていなかった課題を見つけることができた。目的としている点字冊子試験の改善のための基礎研究は、おおむね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、本年度の調査データの分析、学会発表を行う。 1.調査データの分析(1)読解科目「情報検索」の出題可否の可能性についてを、調査データをもとに分析する。 2-学会発表(1)日本語教育学会春季大会(拓殖大学)にて、日本語能力試験点字冊子試験の受験環境整備の検討過程について、ポスター発表する。(2)日本語教育国際研究大会(名古屋大学)の口頭発表に応募し、現在審査中である。採用の場合は、「イラスト触図調査(前年度に実施)」の調査結果を発表する。(3)日本語教育学会秋季大会(北海学園大学)の口頭発表に応募する。採用の場合は、1(1)の調査結果を発表する。 そして、平成21年度からの調査結果(上記1,2を含む)をまとめ、報告書を作成する。
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