(1)ICLEAJ(国際学習者日本語コーパス)の拡充、(2)同コーパスに基づくコロケーション研究、(3)教材開発について報告する。まず前者は、「ICLEAJ β版」配布サイトを立ち上げ、8月19日の国際学会の発表を機に公開を開始した。β版には中~上級の日本語学習者作文データ(NNS:79名分)と日本語母語話者データ (NS:86名分)、あわせて165名分が収録されている。日本語学習者作文データはJSL環境下の中国人日本語学習者作文43名分とJFL環境下の韓国人日本語学習者作文36名分を、日本語母語話者作文データは大学生44名分と社会人42名分をそれぞれ、使用申し込みを順次受け付けており、同コーパスを利用した研究の成果も報告されている。正式版(学習者日本語作文:CN_JFL1~2級200名分、CN_JSL1~2級200名分、KR_JFL1~2級100名分、KR_JSL50名分、日本語母語話者作文:大学生100名分、社会人100名分)は8月にリリースする予定である。その主な特徴は、テーマ(20種)、文章の種類(論述文10種/叙述文10種)、習熟度(1級/2級)、作文評価、母語(JP/CN/KR)、学習環境(JFL/JSL)、滞日年数、既習外国語、大学生/一般社会人など変数のコントロールが可能であること、各作文のサイズが比較的大きいこと(タスク:1時間で800字程度、辞書使用可能)などが挙げられる。(2)は阪上が「接続詞」の日英対照(予稿集)を、望月は5月から研究協力者らと月曜の会を設け、研究を行ってきた。望月が「外来語」、協力者の田中(雄)が「モダリティ」、牛尾が「自他動詞」、田中(舞)が「思考動詞 思う」の研究を実施しており、報告書への収録作業を進展中である。(3)教材開発の予備調査として協同学習利用のライティング授業を対象に、学習プロセスの質的研究を行った。
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