(1)本補助事業の1年目にあたる本年度は、テスト導入による波及効果とテストの妥当性検証に関する国内外の著書や論文を収集し、文献の調査研究を行った。特に大学入試センター試験リスニングテストの応用言語学における位置づけを明確化するために、現在ヨーロッパをはじめ世界の外国語教育に多大な影響を及ぼしているCEFR(ヨーロッパ共通言語参照枠)を活用した妥当性検証方法について文献研究を行った。 (2)国際学会32nd Language Testing Research Colloquium(LTRC)に参加し、CEFRの概要と最新の研究動向、特に各種言語テストとCEFRへの関連付けの方法などを調査した。本LTRCでは、日本人大学1年生のCEFRレベルを調査した研究発表を行った。日本人の大学生のリスニングレベルが他のスキルより、CEFRの基準において低めであることが明らかとなった。欧米の英語学習者に対する調査研究結果との違いについて、広く研究者と意見交換ができた。 (3)リスニングテスト導入による大学英語教育への波及効果について引き続き調査研究を行った。大学英語教育における習熟度別クラス編成・英語学習の動機付けに関する調査研究を、学内紀要に論文発表した。TOEFLで測った大学生1年生のリスニング領域の得点分布は、リーディングや文法語法領域の得点分布より低いことが示された。リスニング学習に関するアンケート調査結果から、大学においてリスニング指導改善の必要性が指摘された。 (4)高校生対象の神奈川県県下一斉英語学力テストの分析を通して、リスニングテスト問題作成について改善が必要であることが示唆された。高校においてもリスニング指導改善の必要性も改めて指摘された。本研究内容は、全国英語教育学会と全英連神奈川大会で口頭発表し、論文としてまとめて投稿した。来年度発行される予定である。
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