研究概要 |
目的外国語教育の現代的ニーズに応えるために,多言語教育を目指して四ヵ国語(英語,中国語,韓国語,日本語)の生活語彙学習教材の開発を行う。具体的には1)紙ベースの教材を開発する,2)デジタルモバイル学習教材を1)をもとに開発する,3)開発した教材の指導効果を検証することを目的とする。 威果23年度は教材開発に力を注いだ。研究目的1)の紙ベースの教材の開発では,これまでの実践成果を踏まえて英語教材の種類を増やした。生活語彙は「家庭]「食物」等から発展させて「ふるさと」「日本」等,教科を横断する題材を扱う教材を開発した。こうした題材は学習指導要領の趣旨に合致するものである。英語版教材を基盤にして,中・韓・日の学習教材も開発したが,中国の出版社が教材の内容と趣旨に関心を持ち,4ヶ国語学習教材の出版準備が進んでいる。さらに継続して行ってきた学校教育で扱われる英語語彙と文法に関する研究も行った。こうした基礎研究は,開発教材を学校教育にどのように関連させて位置づけるかについて示唆を得るためのものである。 2)のモバイル学習教材の開発は,独立行政法人情報通信研究機構(NICT)と共同で,スマートフォンで使える「e-Carta」を完成させた。これは生活語彙を学び,リスニング力を養成する教材である。現在は教材の公開に向けて準備をしている。さらに,モバイル学習指導支援ツールである「なんでもチャンツ」を開発した。これは,スマートフォンの録音機能を使って音声を録音し,それをチャンツにのせて再生する教育支援ツールである。 3)に関しては英語版カード教材を作成して公立学校で実践し,成果の一部を学会で報告した。さらに教育委員会や民間団体が開催する研修会で,ワークショップ形式で教材と指導方法を紹介し(計10回)。教材の普及に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デジタルモバイル学習教材と指導支援ツールの開発を進め,一般に公開できるレベルに到達させた。このことから,当初の目的を達成できたと考える。さらに,デジタル教材の基盤となる,「紙ベース」の教材開発とその実践研究を進めることができた。紙ベースの教材は学校現場の実情を考えると,実用性が高く,学校教育のニーズに応えるものである。モバイル教材と同様に有効度が高い教材であることから,教材開発における成果をあげたものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,開発した学習ソフトを公開する。ソフトを公にするにあたっては,著作権の問題など,考慮すべきことがあるので,ひとつひとつ解決していきたい。また,開発したモバイルソフトは,学校現場で先生方に使っていただけるように,講習会やセミナーで使い方と併せて周知に努める。一方,紙ベースの教材は,導入するための特別な技能やツールを必要としないことから,学校現場では取り組みやすく,実用性が高い。モバイル教材と併せて普及に努めたい。教材は研究会,講習会,さらにインターネットを利用して普及させる予定である。.
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