研究課題/領域番号 |
22520558
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
笠井 千勢 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (90352450)
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キーワード | 第二言語習得 / バイリンガルの思考過程 |
研究概要 |
本研究のテーマである、『日本語を習得した英語母語話者は認知レベルに影響を受けるか』について心理実験を行った。主な実績は実験改良である。すでに「色と形」を題材にした心理実験を行いデータ収集を行っていたが、より精度が高いデータを収集できるよう改良を加えた実験パターンをいくつか制作しパイロット実験を繰り返した。従来の、被験者の第一印象で刺激を選択する形式を改良したもので、刺激同士の類似性・距離感を尺度を持って均一に変化させることが可能になった。つまり、被験者の第一印象は刺激同士が何パーセント類似している際により顕著に示されるかが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に実験の改良を加えたことで時間のずれが生じたが、当初予定した1~3の研究計画に基づき調査を行い、各項目で計画した内容を達成できた。1.英語を母国語とする被験者からのデータ収集‐英語を母語とし日本語を第二言語として習得したイギリス、アメリカ、カナダ国籍の被験者を対象に心理実験を行い、日本語を習得することで彼らの認知レベルに変化が起きることを明らかにした。2.日本人の子供を対象にしたデータ収集‐5歳から18歳までの日本人を対象に心理実験を行い、日本語の習得率とともに思考過程にも変化が起きることを明らかにした。3.学会発表の準備‐国内外の学会で計8回の成果報告を行い、計2本の論文を執筆した。
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今後の研究の推進方策 |
第二言語習得が認知に影響を及ぼすことを明らかにできたことから、次の段階では「どのレベルで習得した第二言語が影響を及ぼし始めるか」をテーマにより詳しい調査を行いたいと考えている。日本では英語教育が盛んであるが、認知の観点から英語教育に貢献できるか模索している。例えば従来テストの点数で判断されていた英語力を、認知レベルの変化を測る新しい英語力測定が可能か調査したい。実際には英語を習得しているのに、テストの点数が低いという理由で習得していないと判断される学習者が存在するかもしれない。認知レベルの変化を考慮したクラス編成や教授法など、新しい試みに貢献したい。
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